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小説 「Excelの中に、未来があった。」

序章:光らない努力

彼は、学生時代から数字や論理に興味があった。部活も研究も、ExcelとVBAがあれば、どんな退屈な作業も遊びのように変えられた。無機質な表計算ソフトの中で、彼は魔法使いだった。


やがて社会に出て、彼は普通の企業に就職する。真面目に働き、言われたとおりに成果を出した。しかし、すぐに気づく。

“自分の手を早く動かせば動かすほど、周囲の時間は遅くなる”

VBAを駆使して業務を自動化し、誰よりも早く仕事を終えた。それが評価されるどころか、彼は周囲から浮いた。「早く帰るやつ」「暇そうだな」「仕事が少ないんじゃないの?」と、皮肉が刺さる。上司もまた、“努力は苦しみと比例する”という昭和の幻想を信じていた。


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第一章:見えない出口

改善しても、評価されない。効率化しても、給料は変わらない。成果は数字に出ても、心は数字では測られない。

“これは、会社の問題じゃない。構造の問題だ”

そう気づいた彼は、ある夜、PCの前で静かに「登録」ボタンを押した。VBAスキルを活かせるスキルマーケットへの出品——副業の始まりだった。



第二章:誰も見ていないステージ

だが現実は甘くなかった。半年間、依頼ゼロ。ページビューすらほとんどない。それでも彼は、腐らなかった。いや、腐る暇がなかった。

“自分がどれだけ便利なものを作れるか、誰かに知ってほしい”

X(旧Twitter)にコードの断片や改善例を投稿し続けた。自分のVBAの技術が、誰かの時間を救うと信じて。

そして、ある日。一本のDMが届いた。「忙しくて対応できない案件があるんですが、お願いできませんか?」

そこから、全てが変わった。



第三章:月収が、給料を超えた日

紹介された依頼を丁寧にこなし、評価を積み重ねると、スキルマーケット内での露出が増えた。気づけば月に数件の依頼が安定的に入るようになり、ある月、ついに会社の月収を副業が上回った。

“時間を縛られず、成果が評価される世界は、確かに存在したんだ”

そして彼は決断する。会社を辞め、Excel VBA専門の個人事業主として独立したのだ。



終章:自由の中の責任

今、彼は家で働いている。朝は家族と朝食をとり、午前中はクライアント対応。午後は開発作業。夕方には子どもと遊び、夕食後には少しの家事。

一日6時間、働いているだけだ。それでも年収は、独立2年目で800万円を超えた。何より、「無意味な残業」も「理解のない上司」も、もういない。

“スキルは、使い方次第で人生を変える武器になる”

Excelの中に閉じ込められていた「彼の未来」は、今、彼の手の中で自由に広がっている。

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