【開発事例】ある介護事業所で起きていた「シフト表の悲鳴」(シフト作成自動化)
- yuji fukami
- 11月14日
- 読了時間: 5分
ある介護事業所で起きていた「シフト表の悲鳴」
今回ご相談をいただいたのは、介護職とリハビリ職(PT・OTなど)が一緒に働く中規模の介護事業所でした。通所系のサービスとリハビリを併設していて、早番・日勤・遅番・夜勤が混在する、かなり複雑な勤務体制です。
この事業所では、毎月こうした流れでシフトを作成していました。
毎月21日ごろまでに、全職員から「休みたい日」「有給を取りたい日」の希望を回収
21日を過ぎてから、管理者がExcel上で1か月分のシフトを組み始める
各種ルール(夜勤明けの扱い・休日日数のバランス・職種ごとの必要人数…など)を頭で全部考えながら、セルに手入力で調整
もちろん、現場には「絶対に守りたいルール」がたくさんあります。けれど、それをすべて満たそうとすると――
「この人に夜勤が偏りすぎてしまう」「この日はリハ職が足りない」「希望休の調整がどうしてもつかない」
といった“板挟み”が必ず発生します。
管理者の方は、勤務終了後に一人でパソコンの前に残り、気づけば夜遅くまで、セルとにらめっこしながらシフト表をいじり続けていました。

スタッフ側にもじわじわ溜まるストレス
シフトが完成するのは、早くて月末近く。遅い時には、**「翌月の勤務が確定するのが本当にギリギリ」**という状況でした。
その結果、スタッフ側にはこんな悩みが生まれていました。
「来月のシフトが決まらないと、家族行事の予定が立てられない」
「保育園の送迎や通院の予定を立てるのに、直前まで確定しないのがつらい」
「希望休はなるべく聞いてくれているのは分かるけれど、どうしても偏りが出てしまう……」
人手不足の中でなんとか回している現場だからこそ、「せめてシフトだけでも早く・分かりやすく・公平にしてほしい」というのが、スタッフ側の本音でした。
一方で管理者も、
「みんなの希望はできるだけ叶えたい。でもルールも守らないといけない…」
と、毎月プレッシャーを抱えながら、「またシフトの季節が来てしまった…」と憂う状態になっていました。
Excel×自動化で、シフト作成が“翌日”に終わる世界へ
そこでご依頼いただいたのが、「介護・リハビリ職のシフトを、事業所独自のルールに合わせて自動作成したい」という開発でした。
事務所内の詳しいルールはここでは書けませんが、
日ごとの必要人数(介護/リハビリ/シフト帯)
職員ごとの条件(職種・性別・夜勤可否 など)
休日日数や連続勤務に関する制約
といった条件を、Excel上で設定できるようにし、そのうえでVBAを使って「1か月分のシフト案を自動生成するツール」を構築しました。
実際の動作の様子(シフトの出力は数秒で可能)

結果としてシフト作成の流れは、次のように変わりました。
これまで通り 21日前後で希望休・有給の希望を集める
Excelシートに希望を反映(セルをダブルクリックして入力フォームから登録)
ボタンをクリックすると、自動的に1か月分のシフト案を作成
必要な部分だけ微調整し、そのまま職員に共有
今までは「21日以降にゼロから組み始めていたシフト」が、早ければ翌日には案が完成し、スタッフへ連絡できるようになりました。

変化したのは「作業時間」だけではありません
このツール導入後、管理者の方からはこんな声をいただきました。
「シフト作成にかかる時間が、感覚的には“数日 → 半日以下”になりました」「“あとは微調整だけ”という状態から始められるので、精神的な負担が全然違います」
スタッフ側からも、
「来月のシフトが早く出るようになって、家族の予定を前もって組めるようになった」
「夜勤の回数や休みの回数が、以前より“だいたい均等”になってきた気がする」
といった声が出てきたそうです。
人手が潤沢なわけではありません。それでも、限られた人数をできるだけ公平に・無理なく配置することが、以前よりずっとやりやすくなりました。

現場ごとに違う「シフトの悩み」に合わせて作ります
今回ご紹介したのは、あくまで 「ある介護事業所での一例」 です。実際には、
通所介護・訪問介護・ショートステイ
老健や特養などの施設
リハビリ職・看護職・介護職が混在する事業所
など、事業所の形態やルールによって、「守りたい条件」や「シフトの考え方」は大きく変わります。
私の役割は、
「その事業所ならではのルールや運用をしっかりヒアリングし、それをExcelとVBAで“再現可能な形”に落とし込むこと」
です。
今回のシフト自動作成ツールも、この事業所のルールをそのまま外に出すことはありませんが、**「こういう考え方・こういう仕組みで自動化した」**というノウハウは、別の現場にも応用することができます。
もしあなたの事業所でも、
シフト作成に毎月かなりの時間を取られている
希望休や夜勤の偏りで、スタッフとの調整に苦労している
高額な業務システムではなく、Excelベースでなんとかしたい
というお悩みがあれば、**御社のルールに合わせた「オーダーメイドのシフト自動化ツール」**をご提案できます。
この事例のように、「21日までに希望を集めて、22日にはシフト案を出せる」世界を、あなたの現場でも実現してみませんか?




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