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放課後等デイサービス・児童発達支援の記録業務(打刻・指導記録・実績集計)の改善事例|マクロ付ブックの共同編集|Excel VBA

更新日:1月25日

※掲載している内容・資料は、実際の案件に基づきつつ、個人・企業が特定できないよう内容を一部加工・再構成したものです。守秘義務に配慮し、実際の顧客情報等は一切含まれておりません。


放課後等デイサービス・児童発達支援の記録業務(打刻・指導記録・実績集計)の改善事例|マクロ付ブックの共同編集|Excel VBA

1. はじめに

今回紹介するのは、放課後等デイサービスおよび児童発達支援の両方のサービスを併用している施設において、 打刻・職員の報告・指導記録・実績集計といった日々の記録業務を、Excelで安定運用できるように再設計した事例です。


ご相談の背景として、もともとExcelで構築された管理システムは存在していましたが、 それを社内ネットワークで共有し、1つのExcelファイルを複数人で別々のPC端末から同時に使う運用になっていました。


その結果、

  • 他の職員が編集している間は操作できない

  • 誰かの上書きで入力内容が消えてしまう

  • 「どれが最新のファイルか分からない」状態になる

  • ファイルが重くなり、処理や修正が追いつかなくなる

といった問題が日常的に発生していました。


特に、玄関での打刻と、職員による日々の入力を別々のPCから同時に行う必要がある運用では、 1つのExcelブックを共有編集する方法に限界が見えていました。


そこで今回、 マクロ付きExcelを前提としながら、同時編集が可能になる構成をあらためて設計し直しています。


本記事では、 「なぜ従来のExcel運用では破綻していたのか」 「どのような考え方で構成を組み替えたのか」 を中心に、現場で実際に回る仕組みとして整理した内容を紹介します。


2. 現状のシステムと問題(マクロ付ブックの共同編集ができない)


改善前の構成は、下記図のとおりで 社内ネットワーク(OneDrive)上で 1つのExcelファイルを共有し、 打刻と職員の報告・指導記録・実績管理をすべて行う運用でした。

現状のシステム
現状のシステム

玄関に設置した打刻用PCと、各職員が使用する複数の業務用PCから、同じExcelブックを開いて入力する形です。


打刻処理では、児童名を選択して出欠や利用状況を登録する必要があり、操作性を確保するため VBAマクロが必須となっていました。そのため、Excel Online(ブラウザ版)は利用できません。


この結果、

  • 単一のExcelファイルでは共同編集ができない

  • 誰かが編集中は他の職員が操作できない

  • 上書きや保存競合が発生する

  • ファイルが重くなり、処理や修正が追いつかない

といった問題が、日常的に発生していました。


特に、打刻と職員入力を同時に行う必要がある現場運用では、「1つのマクロ付きExcelを共有する構成」そのものが安定運用の大きな障害になっていました。


3. 改善後のシステム


3-1. 全体構成の考え方(改善後の全体像)

改善後の全体構成図を配置
改善後の全体構成図を配置

現状の課題を踏まえ、構成を根本から見直しました。ポイントは、「1つのExcelに全員が集まる」構成をやめたことです。


改善後は、

  • 打刻用Excel

  • 職員ごとの報告用Excel

完全に分離し、それぞれが直接つながるのではなく、情報共有用のテキストファイル(DB)を介してやり取りする構成にしています。


この構成により、

  • 従来通りマクロ付きExcelを使える

  • 玄関の打刻PCを複数台設置できる

  • 職員はそれぞれ別のExcelで同時に作業できる

という状態を実現しています。


3-2. ファイル構成(何がどこにあるか)

ファイル構成イメージ(xlsmとtxtの一覧)を配置
ファイル構成イメージ(xlsmとtxtの一覧)を配置

実際のファイル構成は、次のようになっています。

  • 職員別の報告用Excel(職員A/B/C…それぞれ別ファイル)

  • 打刻用Excel(玄関PCごとに別ファイル)

  • OneDrive上で共有するテキストファイル群(実績DB・打刻DBなど)

重要なのは、OneDriveで共有しているのはExcelではなくテキストファイルのみという点です。


各Excelは、

  • 入力した内容をテキストファイルに出力する

  • 必要な情報をテキストファイルから読み込む

という役割に徹しており、Excel同士が直接つながることはありません。


これにより、「誰かが開いていて編集できない」「上書きで壊れる」といった問題を回避しています。



3-3. 打刻用Excelの仕組み(現場での操作)

打刻用Excelの画面イメージを配置
打刻用Excelの画面イメージを配置

打刻用Excelは、従来と同様にマクロ前提で作成しています。

  • 児童一覧から名前をクリック

  • 児童別の打刻シートへ遷移

  • 来所・退所をボタン操作で記録

という流れは変えていません。


違いは、記録結果を直接Excel内に持たず、テキストDBへ即時出力する点です。

これにより、

  • 玄関に複数台PCを設置しても問題ない

  • 他の職員がどこで作業していても影響しない

という運用が可能になっています。



3-4. 職員報告用Excelの仕組み(指導記録・実績入力)

職員報告用Excelの画面イメージを配置
職員報告用Excelの画面イメージを配置

この画面は、職員が使用する報告用Excelのごく一部を切り出したものです。実際の職員報告用Excelでは、

  • 日々の指導記録

  • 出欠・利用状況

  • 時間帯ごとの活動内容

  • スケジュールや内部業務の記録

など、複数の情報を入力・管理できる構成になっています。


その中でもここでは、**「1人の職員が、1日の指導内容を入力する部分」**だけを抜粋して紹介しています。


1シートで多くの情報を扱える構成

職員報告用Excelでは、マクロを活用することで、

  • 日付の切り替え

  • 表示内容の切り替え

  • 入力対象の自動切替

を行えるようにしています。


そのため、シートを大量に増やすことなく、1つの画面上で複数の情報を扱える構成になっています。


見た目はシンプルですが、内部では表示・非表示や参照先を切り替える仕組みを組み込み、日常的な入力が煩雑にならないよう設計しています。


4. システム導入後の変化と課題

本システムの導入により、これまで最も大きな問題となっていた「1つのExcelを複数人で使えない」問題は解消されました。


職員はそれぞれ専用の入力用Excelを使用するため、仮に20名程度の職員が同時に作業していても、他の職員の操作が原因で入力が止まることはありません


これにより、

  • 共同編集できないことによる待ち時間

  • 上書きや保存競合による入力トラブル

  • 「誰かが使っているから触れない」状態

といった、従来のExcel運用で発生していたストレスは大きく軽減されました。


一方で、課題が完全になくなったわけではありません。本構成では、情報共有にOneDrive上のテキストファイルを利用しているため、複数のPCからほぼ同時に同一のテキストファイルへ書き込みが発生した場合、同期処理が競合し、データ取得が不安定になるケースが確認されています。


これはExcel側の問題というよりも、OneDriveの同期仕様による制約に起因するものです。

なお、この点についてもテキストファイルの出力・読み込み方法を工夫することで改善できる余地はありますが、構成がやや複雑になるため、本記事では詳細な説明は割愛しています。


5. Excelベースで開発しない場合の選択肢と、今回の判断について

今回紹介した仕組みは、Excel(マクロ付きブック)をベースに構築しています。この点について、ITエンジニアやシステム開発に関わる方であれば、

「なぜWebアプリとして作らないのか」「なぜサーバー+データベース構成にしないのか」

と感じる方も少なくないと思います。

実際、一般的にこの種の業務システムを新規構築する場合、IT企業が提案するのは Webアプリケーションを中心とした構成 になるのが普通です。


一般的なIT企業が構築する場合の構成とコスト感

仮に本記事で扱っている要件を、Excelを使わずに一般的なWebシステムとして構築する場合、構成はおおむね次のようになります。

  • Web打刻画面(ブラウザ対応)

  • 職員用入力画面(管理画面)

  • サーバー(API)

  • データベース(打刻・実績・記録管理)

  • 認証・権限管理

  • インフラ環境(クラウド)

  • 運用・保守体制

この規模でも、初期開発費は 数百万円規模(300〜800万円程度) になることが一般的で、さらに運用・保守費用として 年間数十万〜数百万円 が継続的に発生します。

中小規模の施設や事業所にとって、このコストを前提にシステム導入を判断するのは、現実的ではないケースも多いのが実情です。


今回Excelを採用した最大の理由

今回の事例では、次の条件がはっきりしていました。

  • 現場職員がすでにExcel操作に慣れている

  • Windows PCが前提の業務環境

  • オフライン作業が発生する可能性がある

  • 同時編集によるトラブルを避けたい

  • 何より「壊れずに日常業務が回ること」が最優先

  • Webシステムに数百万円をかける予算は現実的ではない

この条件を踏まえた結果、Excelでできることの限界を正しく見極めたうえで、構成を設計する という判断をしています。


単に「Excelだから安く済ませた」のではなく、「Excelで成立する範囲を設計で成立させた」という点が重要です。


Excelでも“設計次第で”成立する領域がある

Excelは、無計画に共有・拡張していけば必ず破綻します。しかし、

  • 単一ファイルに全員を集めない

  • 役割ごとにファイルを分離する

  • データの受け渡し方法を明確にする

  • 同時編集が起きるポイントを設計で避ける

といった前提を守れば、小〜中規模の現場システムとして十分に実用的な構成を組むことは可能 です。


今回の構成は、「Web化するほどではないが、従来のExcel共有では限界が来ている」という現場に対して、現実的な落としどころを示すものでもあります。


Excelは“最終解”ではなく、“現実解”

当然ながら、将来的に規模が拡大したり、拠点が増えたり、外部連携が必要になれば、Webシステムへの移行が適切になるタイミングも来ます。


しかし、

  • 今すぐ必要なのは安定稼働

  • 現場が無理なく使い続けられること

  • 導入コストを抑えつつ業務を止めないこと

を優先する場面では、Excelベースで構築することが 最適解になるケースは確実に存在します


本記事は、「Excelでもここまでできる」という単なるテクニック紹介ではなく、現場条件・予算・運用を踏まえた現実的なシステム設計の一例 として参考にしていただければと思います。


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