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【設計思想】要件定義はまずは現状の現場のやり方・構築物の理由に目を向ける

システム開発の請負において、要件定義は非常に重要な工程です。ただ、要件定義というと、「お客様の要望を聞くこと」や「便利な仕様を提案すること」に意識が向きやすい場面も多いです。


もちろん、それ自体は大事です。しかし実際には、その前段階としてもっと大事な視点があります。


それが、今の現場のやり方や、今使われている仕組みが、なぜその形になっているのかを理解することです。


今回は、開発請負における要件定義の考え方の一つとして、この点をまとめておこうと思います。


【設計思想】要件定義はまずは現状の現場のやり方・構築物の理由に目を向ける

提案の前に、まず「なぜそうなっているのか」を見る

システム開発では、現場で使われているExcelや業務フロー、既存の帳票や入力フォームなどを見る機会が多くあります。


そうしたものを見たとき、開発者の立場からすると、

  • もっと簡略化できそう

  • 自動化できそう

  • この入力は不要に見える

  • もっと使いやすいUIにできそう

と感じることがあります。


実際、その感覚自体は間違いではありません。改善点に気づけることは、開発者として大事な視点です。


ただし、そこでいきなり「こうした方が便利です」「この仕様に変えた方がよいです」と提案を始めてしまうと、現場に合わない提案になることがあります。


なぜなら、現場で今その形が使われている以上、そこには何かしらの理由があるからです。


現場のやり方には、必ず理由がある

現場で使われている仕組みは、外から見ると非効率に見えることがあります。しかし、その非効率に見える形の中に、現場なりの最適化や工夫が含まれていることは少なくありません。


たとえば、背景には次のようなものがあることがあります。

  • 担当者のITリテラシー

  • 過去のトラブル対策

  • 例外対応のしやすさ

  • 確認作業の必要性

  • 現場独自のノウハウ

  • 他部署との連携都合

  • 運用ルール上の制約


つまり、現在のExcelや業務フローは、単に「なんとなくそうなっている」のではなく、現場の知見・経験・制約の中で形作られた結果であることが多いです。


ここを見ずに表面だけを見てしまうと、本来残すべき部分まで削ってしまったり、必要な確認工程を壊してしまったりすることがあります。


理由を理解しない改善提案は、一方的になりやすい

現場理解を十分にしないまま改善提案を出すと、次のようなことが起こりやすくなります。


1. 一方的な改善案になる

開発者から見ると合理的でも、現場にとっては使いにくい。「便利にしたつもり」が、現場では「やりにくくなった」になることがあります。


2. 現場に合わず、使われない

技術的には正しくても、運用に乗らなければ意味がありません。結果として、せっかく作った仕組みが使われなくなることもあります。


3. 重要な確認工程を壊してしまう

無駄に見えた手入力や確認欄が、実は事故防止や責任分界のために必要だった、ということもあります。見た目の効率だけで判断すると、業務の安全性や確実性を下げてしまう可能性があります。


要件定義で本当に大事なのは、「背景をつかむこと」

要件定義で大事なのは、単に「希望を聞くこと」ではありません。また、開発者側が「こうした方がよい」と提案することだけでもありません。


本当に大事なのは、

  • 現状を見る

  • なぜそのやり方なのかを理解する

  • 本当の要望や制約を把握する

  • そのうえで改善提案をする

という順番です。


この流れを踏むことで、初めて現場に合った仕様納得感のある提案本当に役立つ仕組みにつながっていきます。


現場理解を深めることで、本当の課題が見えてくる

現場のやり方を丁寧に見ることには、もう一つ大きな意味があります。それは、表面的な要望の奥にある、本当の課題を見つけやすくなることです。


たとえば、お客様から

  • 入力をもっと簡単にしたい

  • 集計を早くしたい

  • 手間を減らしたい

という相談を受けたとします。


この言葉だけを見ると、「入力画面を簡略化する」「自動集計を強化する」といった提案に直結しそうです。しかし、現場を深く見ていくと、実際の課題は別のところにある場合があります。


  • 入力が大変なのではなく、確認ルールが曖昧なのが問題だった

  • 集計が遅いのではなく、前段階のデータ整理がバラバラだった

  • 手間が多いのではなく、例外対応が属人化していた


このように、現場の理由を理解していく過程で、本当に解決すべき問題が見えてくることがあります。


ここまで見えて初めて、提案の質が上がります。


開発請負では、コンサルティング的な視点も重要

請負開発では、「言われた通りに作る」だけでは十分でない場面があります。現場を理解し、その背景を踏まえて、「こうした方が現場に合うのではないか」と提案する力も重要です。


ただし、その提案は現場理解の上に成り立つものでなければなりません。

背景を見ずに提案すると押し付けになりやすい。背景を見た上で提案すると、現場にフィットした改善になる。


この違いは大きいです。


要件定義とは、単なるヒアリング作業ではなく、現場の背景を理解し、より良い形を一緒に考える作業だと思っています。


まとめ

システム開発で改善提案をするときに大事なのは、いきなり「こうした方が便利です」と言うことではありません。


まず見るべきなのは、なぜ現場が今そのやり方になっているのかという理由です。


現場で使われているExcelや業務フローには、現場なりの最適化、制約、知見、ノウハウが反映されています。そこを理解せずに提案すると、一方的で、現場に合わない仕様になってしまうことがあります。


だからこそ、

現状を見る理由を理解する本当の要望を把握するそのうえで改善提案をする

この順番が重要です。


本当に使われるシステムを作るうえで大事なのは、現状を否定することではなく、まず背景を理解すること。そして、その理解の上に改善提案を積み上げることです。


要件定義とは、そのための重要な工程です。

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