【開発事例】児童施設出欠管理(シフト作成)
- yuji fukami
- 9月3日
- 読了時間: 5分
更新日:10月23日
※掲載している内容・資料は、実際の案件に基づきつつ、個人・企業が特定できないよう内容を一部加工・再構成したものです。守秘義務に配慮し、実際の顧客情報等は一切含まれておりません。
■ 背景と課題
児童施設では、職員と児童の出欠、日々の活動計画、送迎情報など、多岐にわたる情報を管理する必要があります。従来の紙ベースや手入力での管理方法では、以下のような課題がありました。
入力作業の煩雑さ:
月次カレンダーや日々の予定作成、出欠入力に膨大な時間がかかっていました。
情報の一貫性の欠如:
各情報が複数の帳票やファイルに分散しており、全体を把握するのが困難でした。
ヒューマンエラーの発生:
手入力による転記ミスや入力漏れが発生しやすく、データの正確性が担保できませんでした。
これらの課題を解決し、職員の負担を軽減するため、Excel VBA を用いた「職員・児童出欠管理システム」を開発しました。

■ システムの概要
システムの全体像

シート構成・内容
設定: 職員の氏名・職種、児童の氏名・生年月日、各曜日の送迎場所などを登録するマスターシート

設定シートの詳細 職員出欠: 日々の集団活動内容・担当者、職員の出欠・勤務時間などを入力・管理

職員出欠シートの詳細 児童別出欠シート: 児童個別の出欠や送迎情報(担当・時間)を入力

児童別出欠シートの詳細 日付別シート: 日ごとの職員・児童の活動予定を時間帯別に詳細を入力・管理、送迎の情報を出力し、ドライバー・車両を入力・管理

日付別シートの詳細 項目: 入力補助用の候補リストを管理するシート

項目シートの詳細 出欠一覧: 集団活動内容・担当者、職員・児童の出欠状況を一覧で確認・出力

出欠一覧シートの詳細 カレンダー: 集団活動内容や職員のお休み情報などを集約し、月次カレンダーとして出力

カレンダーシートの詳細
■ 主要な VBA 機能
本システムは、以下のマクロを実装することで、多くの手作業を自動化しています。
シート作成・管理機能
児童別出欠シート作成(初期化する/初期化しない):
入力済みのデータを初期化するかしないか選択可能で、設定シートの情報をもとに新規シートを作成します。また、「設定」・「児童別出欠」シートに各児童のシートへのハイパーリンクを作成する。
日付別シート作成(初期化する/初期化しない):
入力済みのデータを初期化するかしないか選択可能で、設定シートの情報をもとに新規シートを作成します。また、「職員出欠」シートに各日付別シートへのハイパーリンクを作成する。
入力補助・表示機能
児童別出欠シート非表示/表示切替: 必要な児童のシートだけを表示し、不要なシートを非表示にすることで、見やすさを向上させます。
出勤出席人数計算: 職員と児童のその日の出欠人数を自動で計算し、表示します。
出欠一覧出力: 入力されたデータをもとに、日々の出欠一覧を更新して出力します。
週表示切替: 出欠一覧シートを「全体表示」または「各週」ごとに切り替えて表示できます。
担当職員振分: 日付別シートで、集団活動などの担当を該当職員の中からランダムに振り分ける機能を実装しました。
送迎情報作成: 児童の送迎情報を出発時間・送迎場所ごとに並び替えて表示し、送迎業務をサポートします。
入力補助機能
入力補助用の候補一覧: 項目シートに登録された候補を、セルをダブルクリックすることでプルダウンリストとして表示し、選択入力を可能にしました。
時刻の自動変換: 数字を入力するだけで、時刻形式に自動変換されます。
カレンダー入力: 児童の生年月日入力時、セルをダブルクリックするとカレンダーが表示され、日付を選択して入力できます。
前週の予定コピー: 日付別シートで、8日目以降の予定が前週と同じ場合、児童名をダブルクリックするだけで前週の予定をコピーできます。
実際の出欠管理システムの操作画面
■ 結果・導入後の効果
大幅な作業時間の削減:
月次の予定作成や日々の入力作業が自動化され、作業時間が大幅に短縮
ミスの防止とデータ精度の向上:
入力補助機能や自動計算機能により、ヒューマンエラーが減少し、データの正確性が向上
効率的なシート移動:
シート間のハイパーリンクや表示切替機能により、目的のシートへ簡単にアクセス可能に
情報の一元管理:
すべての出欠関連情報が1つのブックに集約され、管理が非常に楽に
■ コメント
本システムの開発において、私たちが最も重視したのは「お客様の使いやすさ」でした。 多くの機能を盛り込むと、Excelのシートは増え、かえって使いにくくなることがあります。この課題を解決するため、私たちは以下の点を意識して開発を進めました。
まず、ハイパーリンクやシート間移動のマクロボタンを各所に配置しました。これにより、シート数の多さからくる移動の煩わしさを解消し、必要な情報へ素早くアクセスできるナビゲーション機能を実現しました。これは、Excelブックを単なるデータの集まりではなく、一つのアプリケーションとして機能させるための重要なポイントです。
また、入力の手間とミスを削減するため、入力補助機能を豊富に盛り込みました。 たとえば、セルをダブルクリックするだけで、候補リストやカレンダーが表示され、誰でも正確かつスピーディーに入力できるようにしています。特に、日付別シートでは、8日目以降で前週と同じ予定であれば、氏名をダブルクリックするだけで前週の予定をコピーできる機能を実装しました。これは、定型業務が多いお客様の負担を大幅に軽減する、VBAならではのアイデアです。
このように、Excel VBAは、データベースや高価な外部システムを導入しなくても、日々の業務に深く寄り添った、強力なソリューションを提供できる「最強のツール」です。もし、現在のExcel作業に課題を感じていたり、業務効率化のアイデアを探していたりする方は、ぜひ一度、VBAを活用した業務改善をご検討ください。



コメント