歯科医院の見積書づくりをExcelで自動化した事例|販売終了ソフトの代わりに
まずは動画で、実際の操作の流れをご覧ください(動画内のデータはサンプルです)。
販売終了した歯科用の説明ソフトの代わりに、歯のイラストをクリックするだけで治療計画と見積書を作れるExcelツールを作りました。最初の版は約2週間半でお渡しし、院内のExcelだけで見積書づくりを続けられるようになりました。
業種:歯科医院(自費診療の患者説明)
困りごと:使っていた歯科用の説明ソフトが販売終了・サポート終了になり、治療計画と見積書を作る手段がなくなった
作ったもの:歯のイラストをクリックして治療計画を入力し、歯の図入りの見積書を自動で作ってPDFで保存するExcelツール
使った技術:Excel VBA(Excelの操作を自動にする仕組み)。追加のソフトやサーバーは不要
期間の目安:ご相談から最初の版のお渡しまで約2週間半、追加機能を含めた正式な納品まで約1か月半
費用の目安:最初の開発が8万円台、インレー・アンレー機能の追加が7万円台(その後の小さな機能追加は5,000円から)
効果:販売終了したソフトの代わりとして、治療計画から見積書までを院内のExcelだけで作れるようになった
販売終了したソフトの代わりに、治療計画と見積書を作る手段が必要だった
ご相談をくださったのは、自費診療の治療計画と見積書を、患者さんにわかりやすく説明したいという歯科医院の先生です。
それまでは、歯のイラストで治療内容を見せられる歯科用の説明ソフトを使っていました。ところが、そのソフトが販売終了となり、サポートも終わってしまいました。歯の絵を見せながら治療内容と金額を説明する、という毎日の流れを続けるために、代わりの手段が必要になったのがご相談のきっかけです。
先生ご自身は「パソコン、特にExcelは苦手」とのことでした。ご希望は次のとおりです。
Excelで動くこと
項目を選ぶと金額が自動で計算されること
印刷しやすく、PDFで保存できること
歯の状態が絵で伝わる、患者さんに見やすい見積書であること
まずはインプラントの見積書のような小さな範囲から始めて、少しずつ育てていけること
歯の絵をクリックするだけで見積書ができる仕組み
患者さんの登録から、治療計画の入力、見積書の作成、PDFでの保存までを、1つのExcelファイルの中で行えるツールです。全体の流れは下の図のとおりです。オレンジが先生の作業、青が自動で行われる作業です。

先生がカルテ番号と氏名を入力して、患者さんを登録する
先生が歯のイラストをクリックして、歯の状態(天然歯・欠損・インプラントなど)を選ぶ
先生が材料と治療内容を選ぶ(選んだ色や形が歯の絵に反映される)
ボタンを押すと、歯の図・治療項目・金額が入った見積書が自動でできあがる
見積書をPDFで自動保存し、患者さんに渡せる形にする
先生が行うのは、患者さんの登録と、歯の絵を見ながらの選択だけです。ここからは、特に変わった4つの場面を紹介します。
歯の状態と材料は、絵をクリックして選ぶだけ
歯の絵を見ながら治療計画を立てられることが、一番のご希望でした。今は、入力画面の歯のイラストをクリックして歯を選び(下の画面の①)、材料のボタンを押すと、その色が歯の絵につきます(②)。歯の状態もボタンで切り替えられます(③)。

インレー・アンレーの細かい形も、絵でそのまま伝わる
詰め物をする面は組み合わせが多く、言葉だけでは患者さんに伝わりにくい部分です。今は、歯の5つの面から詰め物をする面を選ぶと(下の画面の①)、その形が歯の絵にそのまま描かれます(②)。5つの面の絵を重ねて描く作りにしたので、どの組み合わせでも表示でき、ファイルも重くなりにくくなっています。

見積書は、歯の図と金額が入った形でボタンひとつ
ソフトが使えなくなると、見積書を一から作り直す手間が出てしまいます。今は見積書を作るボタンを押すと、入力した歯の状態が正面から見た歯の図に反映され(下の画面の①)、治療する歯の位置・治療名・金額が自動で並びます(②)。そのままPDFで保存できます。

治療計画を3案まで作って比べられる
自費診療では、いくつかの治療方法と金額を見比べていただく場面があります。治療計画は1人の患者さんにつき3案まで作れ、案ごとに見積書を出せるようにしました。
Excelが苦手でも、番号つきの質問に答えるだけで仕様が決まった
Excelが苦手な先生でも安心して進められるよう、次の3つを大事にしました。
確認したいことは画像つきの資料にまとめ、質問に番号を振ってお送りしました。先生には番号ごとに答えていただくだけで、仕様が決まっていきました
作業の途中で画面の見た目をお見せしました。歯のイラストに「実際の歯の形と違う」とご指摘をいただき、先生がお持ちの資料をもとに作り直しています。ボタンの名前も、ご指摘に合わせて「天然歯」「インプラント」「欠損」に変えました
元のソフトの機能を全部再現するのではなく、まずは「患者情報の入力」と「見積書の作成」に絞ることをご提案しました。最初の範囲を大きく超えるインレー・アンレーの機能は、別のお見積りに分けてお出ししています
こうして範囲を分けたことで、最初の開発は8万円台、インレー・アンレーの追加は7万円台と、段階ごとに費用を確かめながら進められました。あとから機能を足しやすいよう、患者さんと治療のデータは最初からきちんと保存する作りにしました。
院内のExcelだけで見積書を作り続けられるように
最初の版をお渡ししたあと、先生に実際に使っていただきながら、気づいた点をまとめてお送りいただき、版を重ねて改良しました。最終確認のあと、先生からは「とてもよくできている」とのお言葉をいただいています。
納品後も、使う中で出てきたご要望に合わせて、指定した患者さんのデータをまとめて消去する機能と、治療計画1の内容を別の治療計画へ写す機能を足しました。販売終了したソフトの代わりとして、今も院内のExcelだけで治療計画と見積書を作り続けています。
同じ仕組みが使えそうな業務
絵を見せながら内容と金額を説明する見積書は、歯科以外にもあります。
整骨院・動物病院など、施術や治療の内容を図で見せながら料金を説明する業種の見積書
リフォームや外構工事など、図面の場所をクリックして工事内容と金額をまとめる見積書
販売終了やサポート終了で使えなくなった業務ソフトの、よく使う機能だけの置きかえ
よくある質問
使っているソフトが販売終了になりました。同じものをExcelで作れますか?
よく使う機能に絞れば、Excelで代わりを作れることが多いです。元のソフトのすべての機能を同じにするのは難しい場合が多いためです。この事例でも、まずは治療計画と見積書の作成に絞って作り、使いながら必要な機能を足していきました。
歯のイラストのような絵を使うと、Excelは重くなりませんか?
作り方を工夫すれば、実際の業務で使える速さを保てます。絵の数が増えると動きが遅くなることはありますが、この事例では、面ごとの絵を重ねて描く方法で絵の枚数を減らし、シートの増やし方も相談しながら決めました。
パソコンやExcelが苦手でも依頼できますか?
依頼できます。この事例の先生も、Excelは苦手とおっしゃっていました。確認したいことは画像つきの資料と番号つきの質問でお送りするので、それに答えていただければ仕様が決まります。
まとめ
使い慣れたソフトが販売終了になると、毎日の説明や見積もりの業務が止まりかねません。この事例では、歯の絵をクリックするだけで治療計画を立て、歯の図入りの見積書をPDFで作れるExcelツールを作り、院内で使い続けられる形にしました。
元のソフトをまるごと再現しようとせず、毎日使う部分から小さく始めて育てていくと、費用を抑えながら、現場に合った道具にしていけます。
似たお悩みをお持ちの方へ
同じように、使っていたソフトが使えなくなって困っている場合は、今お使いの帳票や見積書の見本が1枚あれば、そこから必要な機能を一緒に整理できます。Excelが苦手でも、番号つきの質問にお答えいただく形で進められます。
この記事を書いた人:Softex Celware 代表。Excel VBA・GASを中心に、中小企業の業務に合わせたツールを開発しています。開発実績は累計900件超(2026年11月時点)。ココナラのIT部門ランキングで1位を獲得。技術評論社から書籍を出版(2024年)。


