【開発事例】学校の制服採寸入力+発注書作成ツール
- yuji fukami
- 11 分前
- 読了時間: 5分
※掲載している内容・資料は、実際の案件に基づきつつ、個人・企業が特定できないよう内容を一部加工・再構成したものです。守秘義務に配慮し、実際の顧客情報等は一切含まれておりません。
■ 背景と課題:大量の発注書をどう入力するか
今回のお客様は、学校関連の制服を取り扱っており、入学予定者の制服の採寸を一斉に行い、その記録の入力に時間がかかっていました。
現状では、多くの発注書が手書きで作成されており、それを担当者が手作業でExcelや社内システムに入力しています。この作業は非常に時間と労力がかかり、担当者の大きな負担となっていました。また、手入力のため入力ミスも発生しやすく、正確性の確保が困難な状況でした。
こうした課題を解決するため、OCR(光学的文字認識)による自動化も検討されましたが、費用対効果の面で見送られました。さらに、個人情報が含まれるため外部への委託も難しく、結果的に手作業が続いていました。お客様は、発注書のデータ入力における作業負担を軽減しつつ、入力ミスを減らすための解決策を求めていました。

今回の依頼内容の課題の整理すると次のようになります。
採寸作業でどんどん生徒が来る → 手早く正確に記録を行いたい。
現状は手入力で、記録・集計にも手間がかかっている。
■システムの開発
この課題を解決するため、いくつかの選択肢を検討しました。
まず採寸時に制服の注文の情報の記録ですが、ジャケットやスラックスなどの制服の種類やS,Mなどのサイズなどを記録する必要があります。これらはExcelで手入力だと非常に時間がかかってしまいます。
通常考えられるのはドロップダウンリストやユーザーフォームを使って候補一覧(制服の種類やサイズなど)を表示し、そこからマウスで選択して入力する方法も考えました。しかし、より入力スピードを追求するなら、マウス操作をせずにキーボードだけで完結する操作が最も効率的だと判断しました。
そこで採用したのが、数字やアルファベットの簡単な組み合わせを入力してそれを内部で自動変換する(例:「11」→「ジャケット」、「23」→「スラックス」など)というアプローチです。この方法なら、使用者が習熟するにつれて操作が手に馴染み、まるでタイピングゲームのように軽快に作業を進めることができます。
■システムの概要
開発したツールは、Excel上で動作するシンプルなVBAツールです。データの関係を下図に示します。



また、効率を最大限に高めるためのさまざまな機能を搭載しています。
1. 入力補助機能

性別の自動変換
「1」と入力すれば「男」、「2」と入力すれば「女」に自動変換されます。
住所の自動入力
郵便番号(ハイフン有無どちらでも可)を入力すると、住所の一部が自動で入力されます。
品名の自動変換
品名を2桁の数字(例:「大分類の番号」+「品名の番号」)で入力すると、対応する品名が自動で反映されます。
サイズの自動変換
品目ごとに異なるサイズ表記に対応するため、数字1桁でサイズに変換する機能や、数字やアルファベットをサイズに変換する機能を搭載。ユーザーが自由に設定を変更できます。
特殊なサイズの入力補助
「60-53」のようなハイフンを含むサイズ表記も、「6053」と入力するだけで自動的にハイフンを挿入します。(電卓操作のように基本的にテンキーにだけ手を添えて操作が完了するようになっています。)
4桁の数字へのハイフン自動追加機能
2. 集計機能
入力された発注情報を、大分類、品目、サイズごとの数量で自動集計し、一覧表示します。入力に登録されていない新しいサイズが入力された場合も、集計表の末尾に自動で追加され、集計漏れを防ぎます。出力
3. 発送用データ作成機能
入力された発注データから、発送業務に必要な情報を自動で抽出し、別のxlsxファイルとして保存します。配送業者のサイトと連携できる形式で、氏名、電話番号、郵便番号、住所、代引き金額といった情報が自動で整形されます。
■結果・導入後の効果
このVBAツールの導入により、お客様の発注書からのデータ入力作業は劇的に改善されました。
・ 作業効率のアップ
キーボード操作だけで完結する入力補助機能により、1件あたりの入力時間が大幅に短縮されました。そして、入力者の習熟によりより、速度が上昇します。
・ ミスの減少
自動変換機能や郵便番号からの住所入力機能により、入力ミスが減少し、データ精度の向上につながりました。
・ ヒューマンエラーの削減
集計や発送用データ作成も自動化されたことで、手作業によるミスが減り、業務全体の信頼性が向上しました。
これらの効果は、業務効率化だけでなく、お客様へのサービス品質向上にも貢献しています。
■コメント
もし、日々の単純なデータ入力作業に追われていたり、手作業でのミスに悩まされている方がいらっしゃれば、VBAを使った業務自動化は強力な解決策となり得ます。VBAは専門的なプログラミング知識がなくても、身近なExcelを使って開発できるのが大きなメリットです。
今回の事例のように、「手入力の負担を減らしたい」「ヒューマンエラーをなくしたい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。お客様の業務に寄り添った最適なソリューションをご提案させていただきます。
VBAを学習中の方へ 今回の事例では、「ユーザーの使いやすさ」を追求した結果、数字やアルファベットでの自動変換という形に行き着きました。このように、目の前の課題をどのようにすれば最も効率的に解決できるかを考えることが、VBA開発の面白さであり、スキルアップの鍵となります。ぜひ、日々の業務の「めんどくさい」をVBAで解決してみてください。
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