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今治Excel教室|第9回レポート 治療院の業務日誌作成

今回の第9回のExcel教室では、治療院で使える業務日誌(簡単な記録表)を題材に、実務に沿った表づくりを行いました。


ただ作り方をなぞるのではなく、生徒さんの現場の働き方や「実際にどんな情報を記録しているか」をヒアリングし、その内容に合わせて、「こうすると便利になる」ポイントを押さえながら一緒に作成していく流れで進めました。

今治Excel教室|第9回レポート 治療院の業務日誌作成

はじめに(業務日誌の要件)

治療院の業務日誌として、まず必要になるのは次の情報です。

  • 患者さん(お客様)ごと

  • いつ(どの日に)

  • 誰が対応して

  • どんな治療・診療(業務内容)を行ったか

これらを1件ずつ入力していくことで、業務の記録として残せます。

さらに今回は、記録するだけではなく、利用金額まで自動計算できる仕組みを作ることを目標にしました。具体的には、利用時間の開始時刻・終了時刻を入力すると利用時間(経過時間)が自動で算出され、内容に応じて設定した時間単価と組み合わせて、利用金額を自動計算する流れです。

この「記録」と「金額計算」を一体化することで、手作業の計算ミスを減らし、日々の集計もスムーズになります。


業務日誌を作っていく

ここからは、実際に教室で進めた手順に沿って、業務日誌を作成していきます。


「どういう順番で作ると分かりやすいか」「どこを自動化すると便利か」を意識しながら、完成形へ近づけていきましょう。

手順1:ヘッダーの用意

まずは、業務日誌として入力する項目(列見出し)を準備します。今回作る表は、記録を残すだけでなく、利用時間と金額の計算までできるのがポイントです。


ヘッダーは次のように入力します。

  • 日付

  • 従業員名

  • 業務内容

  • お客さん名前

  • 利用時間開始

  • 利用時間終了

  • 利用時間

  • 時間単価

  • 利用金額


この時点では、見出しを入力して形を作るだけでOKです。(あとから計算式や表示形式を入れていきます)

手順1:ヘッダーの用意
ヘッダーの用意

手順2:ヘッダーの見た目を整える

次に、入力したヘッダーを見やすく整えます。今回の表では「利用時間」に関係する項目が複数あるので、次のようにカテゴリとしてまとめて見せるのがコツです。


  • 「利用時間開始」「利用時間終了」「利用時間」を「利用時間」カテゴリとして上にまとめて配置する


さらに、表全体が見やすくなるように 罫線 を設定します。スクショのように、ヘッダー周辺と入力エリアが分かるだけでも、実務での使いやすさが大きく変わります。


※罫線の設定は、ショートカット(例:Ctrl + Shift + 6)でも素早く設定できます。(この操作は前回の第8回でも扱った内容の振り返りになります)

手順2:ヘッダーの見た目を整える
ヘッダーの見た目を整える

手順3:まず1行データを入力

次に、動作確認も兼ねて 1行だけ データを入力してみます。最初に1行入れておくと、次の手順(計算式)を入れたときに、結果が正しく出ているか確認しやすくなります。


例として、スクショのように

  • 日付

  • 従業員名

  • 業務内容

  • お客さん名前

  • 利用時間開始(例:15:00)

  • 利用時間終了(例:17:30)

  • 時間単価(例:3000)

まで入力します。


この段階では、「利用時間」「利用金額」はまだ空欄でOKです。次の手順で計算します。

手順3:まず1行データを入力
まず1行データを入力

手順4:利用時間の計算

ここでは、利用時間を計算します。考え方はシンプルで、終了時刻 − 開始時刻 です。


例:スクショの計算式

  • 利用時間(H4)=G4-F4(利用時間終了 − 利用時間開始)


これで、利用時間が 2:30 のように表示されます。


続けて、利用金額も計算できます。

  • 利用金額(J4)=H4*I4(利用時間 × 時間単価)


ここで注意点が1つあります。利用時間(2:30 など)は Excel 内部では「時刻(1日を24時間で割った値)」として扱われるため、そのまま掛け算すると表示が時刻っぽくなることがあります(スクショの「表示形式が『時刻』になる」状態)。


この対処は、次の手順で 表示形式の調整 を行って解決していきます。

手順4:利用時間の計算
利用時間の計算

手順5:利用金額の計算①(不具合発生)

前の手順で、次の計算式を入力しました。

  • 利用時間:=G4-F4

  • 利用金額:=H4*I4

この時点で一度、利用金額の表示形式を確認します。

図のように、利用金額のセルを選択し、【ホーム】タブ → 表示形式を「標準」または「数値」に変更します。(ショートカットなら Ctrl + Shift + 1 でも可)

すると、計算結果が 312.5 と表示されます。

ここで違和感があります。

本来の計算は、

2時間30分 × 3,000円/時間 = 7,500円

になるはずです。

しかし実際は 312.5 になっています。これは計算ミスではなく、Excelの時刻の扱いが原因です。


手順5:利用金額の計算①(不具合発生)
利用金額の計算①(不具合発生)

Excelでは、「2:30(2時間30分)」は 2.5時間ではなく、1日の中の2時間30分(=約0.104166...) として扱われています。

つまり、

0.104166... × 3000 = 312.5

という計算になっているのです。

この問題を解決するには、

2時間30分を「2.5」という時間単位の数値に変換する必要がある

ということになります。

この変換処理を、次の手順で行います。

手順6:利用金額において3列用意と、左右表示範囲の節約術

利用時間を「時間単位」に変換するために、ここでは補助列を追加します。

図のように、「利用時間」の右側に3列を用意します。


例:

  • 利用時間(時)

  • 利用時間(分)

  • 利用時間(1時間を1)


このように段階的に分解していくことで、最終的に「2.5」のような時間単位の数値へ変換できるようになります。

利用金額において3列用意
利用金額において3列用意

表が横に広がりすぎた場合の整理テクニック


列が増えると、表が横に長くなり、見づらくなります。

そこで、表示範囲を整理します。


図の手順に沿って:

  1. ヘッダー行(3行目)を選択→ 左端の「3」をクリックすると行全体が選択されます。

  2. 【ホーム】タブ → 「折り返して全体を表示」をクリック

  3. 列全体を選択し、列幅を少し狭くする

  4. 行番号3をダブルクリックすると、行の高さが自動調整され、ヘッダー文字がきれいに表示されます。


この操作により、

  • ヘッダーの文字がすべて表示される

  • 左右方向の表示範囲がコンパクトになる

  • 表全体の視認性が向上する

という効果があります。


左右表示範囲の節約術
左右表示範囲の節約術

手順7:利用金額の時間、分の分離と1時間単位に変換

手順5で確認した通り、「2:30」は Excel では 2.5時間ではなく、1日の中の2時間30分 として扱われています。

そのため、正しい金額計算を行うには、

利用時間を「時間単位(例:2.5)」へ変換する必要があります。

ここでは、そのための計算を段階的に行います。


① 時と分をそれぞれ取り出す

まず、利用時間(例:H4セル)から

  • 「時」の部分

  • 「分」の部分

をそれぞれ取り出します。


時の取り出し

=HOUR(H4)

分の取り出し

=MINUTE(H4)

ここで一度、表示形式を「標準」または「数値」に変更します。(そのままだと時刻表示になってしまうため)


すると、

  • 利用時間「2:30」は

    • 時 → 2

    • 分 → 30

というように、数値として分解されていることが確認できます。


利用金額の時間、分の分離
利用金額の時間、分の分離


② 1時間単位(小数)へ変換する

次に、この「時」と「分」を使って、1時間単位の数値に変換します。

考え方は次の通りです。

1時間を「1」とする30分は「30 ÷ 60 = 0.5」時間

つまり、

時間単位 = 時 + 分/60

となります。


実際の計算式は、

=I4 + J4/60

(※列位置は実際の表に合わせてください)


これにより、

  • 2時間30分 → 2.5

  • 1時間30分 → 1.5

  • 2時間15分 → 2.25

のように、「時間を1とする」小数表現へ変換できます。

これで、利用時間が正しく掛け算できる状態になりました。

利用金額を1時間単位に変換
利用金額を1時間単位に変換

手順8:利用金額の計算②

いよいよ、利用金額を再計算します。

今度は、「時刻」の値ではなく、1時間単位へ変換した数値(例:2.5) を使って計算します。


計算式はシンプルです。

=利用時間(1時間を1) × 時間単価

例:

=K4 * L4

これで、

2.5 × 3000 = 7500

と、正しい金額が表示されます。


図の通り、7,500円と表示されれば成功です。

利用金額の計算②
利用金額の計算②

手順9:見た目を整える(入力部分、計算式で色分け)

ここまでの手順で、業務日誌として

  • 1行分の入力

  • 利用時間の計算

  • 利用金額の自動計算

まで完成しました。


ここからは、「使い続けられる表」にするための最終仕上げです。


なぜ見た目を整えるのか?

Excelは、完成したあとに他の人が使う可能性があるツールです。

  • どこに入力すればいいのか?

  • どこは触ってはいけないのか?

  • 計算式が入っている場所はどこか?

これが一目で分かるようにしておかないと、誤って数式を消してしまい、表が壊れてしまう原因になります。


そこで今回は、入力セルと計算セルを色で分けるルールを設定します。


色分けのルール

今回のルールは次の通りです。

  • 🟡 値を入力するセル → 薄い黄色

  • 🟢 計算式が入っているセル → 薄い緑色

このように統一します。


図のように色分けすることで、

  • 「ここは入力していい」

  • 「ここは変更してはいけない」

という区別が、誰が見ても分かる状態になります。

これは単なる見た目の装飾ではなく、Excelを壊さないための設計です。

見た目を整える(入力部分、計算式で色分け)
見た目を整える(入力部分、計算式で色分け)

セルの色を設定する方法

セルの塗りつぶしは、【ホーム】タブから設定できます。

  1. 対象セルを選択

  2. 「塗りつぶしの色」から色を選択

  3. 入力セルは黄色、計算セルは緑に設定

これだけでOKです。


色が違う場合の設定(配色テーマ)

Excelの設定によっては、表示される色が図と少し違うことがあります。

その場合は、

【ページレイアウト】タブ → 「配色」から「Office 2013-2022」などを選択すると、図と同じような色に統一できます。


配色テーマを揃えておくと、

  • 社内で共有するとき

  • 別のPCで開いたとき

でも見た目が崩れにくくなります。


着色ルール
着色ルール

色分けの本当の目的

この色分けの最大の目的は、

「誰が使っても安全なExcel」にすること

です。


今後この業務日誌を使う人が、

  • 編集してよい場所

  • 絶対に触ってはいけない場所

を直感的に理解できるようになります。


その結果、

  • 計算式が消える事故を防げる

  • トラブルが起きにくい

  • 安心して使い続けられる

という状態を作ることができます。

手順10:金額を3桁区切り表示にする(桁数の多い数字を見やすく)

最後に、見やすさの仕上げとして時間単価と利用金額を3桁区切り表示にします。

これまでの手順で計算自体は正しくできるようになりましたが、金額が「7500」「12000」と並んでいると、桁が増えたときに読みづらくなります。

そこで、カンマ区切りにして視認性を上げます。


設定方法

  1. 金額のセル(時間単価・利用金額)を選択

  2. 【ホーム】タブを開く

  3. 「,(カンマ)」ボタンをクリック


これで、

  • 7500 → 7,500

  • 12000 → 12,000

のように表示されます。

ショートカットを使う場合は、

Ctrl + Shift + 1

でも設定可能です。


金額を3桁区切り表示にする(桁数の多い数字を見やすく)
金額を3桁区切り表示にする(桁数の多い数字を見やすく)

なぜ3桁区切りが大事なのか?

数字は、桁が増えるほど読み間違いが起きやすくなります。

例えば、

  • 100000

  • 1,000,000

この2つは一瞬では判別しづらいですが、カンマが入るだけで直感的に理解しやすくなります。


これは単なる装飾ではなく、実務でのミスを減らすための工夫です。

特に金額を扱う業務では、見やすさ=安全性につながります。


第9回の総まとめ


今回の講習では、単に業務日誌を作るだけではなく、

  • 利用時間の計算

  • Excelにおける「時刻」の内部仕様の理解

  • 時間を1時間単位へ変換する考え方

  • 正しい金額計算の仕組み

  • 入力セルと計算セルの色分け

  • 3桁区切りによる視認性向上

まで行いました。


今回のポイントは「設計」

今回特に大事だったのは、

Excelは「計算できる」だけでは不十分

ということです。

大切なのは、

  • 壊れにくい構造にすること

  • 誰が見ても分かる状態にすること

  • 安全に運用できるようにすること

この視点があるかどうかで、Excelは「ただの表」から「業務ツール」に変わります。


実務への応用

今回の内容は、治療院の業務日誌に限らず、

  • 勤怠管理

  • 作業工数管理

  • コンサル・士業の時間請求管理

  • 製造業の作業記録

  • 現場の作業日報

など、時間×単価で管理するあらゆる業務に応用できます。

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